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DATE: 2009/09/06(日)   CATEGORY: かもかてSS
かもかて二次創作SS6【ヴァイル憎悪Aでいろいろと】
や、出します。分化後ヴァイル(男)来たら新しいの書きます。
今度こそ愛とか友とかそういう系のがいいんですが、なかなか難しいですね。

ルージョン・ヴァイルの「永遠の少年」が前提で、ヴァイル憎悪A+トッズ友情Aとなります。
実際には無理かもしれませんね。というか無理ですね。
イベントは「永遠の少年」「約束の最後」「玉座をめぐる決闘」「湖上の約束」あたり。

話的には微妙にメタいですが、「選択したことで失敗するレハトと、選択しないことで失敗するヴァイル」みたいな感じ、に、な、る、と、いい、な(あんま自信ねぇ)
ルートが憎悪Aに入ったとき、ヴァイルが「分からない」と言う。話的にはそれが自然というか、まぁそう言わないといけないんですけど、でもそれは選択の岐路に立たされてる時に選択を放棄したということでもあるのではないかと。だから憎悪Aはヴァイルがふっと消えてしまうような、そういうENDになるんじゃないかと。

書き方としてはアレですが、ヴァイルは一応普通に分化してて男か女かどっちかだという設定です。
(当初は篭りで動けない間の生活費を稼ぐために未分化の体を売っ払ったから女になってるという部分があったのですが、我ながら耐えかねたので削除しました……。これがヴァイルじゃなくてレハトの方だったら平気でやってたかもしれませんが。でもあれですよね、篭りルームとそれに伴う生活費は公共事業として各地方自治体が特に素性を調べず誰にでも無償提供してくれてますよねきっと。そう思いたい)


父は初めからいなかった。
母はある時亡くなった。
故郷はその時奪われた。

老侍従に連れてこられた城は、無邪気な悪意と噂話に満ちた、狭い狭い鳥籠のようで、人々はそれぞれが籠の中でどれだけ威勢よく鳴けるかを競い合う羽を切られた醜い鳥達のようだった。
雑音に痛む耳を押さえながら見上げた玉座ばかりが、神殿の天井から差し込む光のように私の目を明るませていた。

田舎者に冠を奪えるはずもないという余裕からか、それとも自らの額にある選定印だけでは目指す権力に足りないという強欲さからか、それとも本当にただの親しさからか、最初から無遠慮に距離を詰めてこようとするもう一人の王候補、その偽善的な友情におもねることは簡単だった。
微笑み手を取り、慰めの言葉を囁いてやるだけで、段々と相手が私に溺れて行くのが分かる。
彼は幼いのだ。誰かの胸に寄り添わなければ泣くことも出来ない位に。

「あの人、片目がほとんど見えなくてさ。だからか知らないけど、たまにどこを見てるのかよく分からない時があった」

屋上に吹く雨が薄い生地でできた服を通して肌に冷たく触れる。
父への憧憬が、父のない私に空々しく聞こえることなど彼は気づいてもいないに違いない。
伝う涙が頬を温かく濡らしても、雨にまぎれて世界には音もない。
そのことに感謝しながら、今さら懐かしく思う人さえ自分にはいないことに、私もまた泣いていた。

「ほら、約束」

鏡石のように凪いだ湖の上、差し出された手に、私は拒絶を選択する。
なぜ私をこれ以上縛ろうとする?
これ以上、何を求める?
私は何も持っていないんだ。
私から貰おうとするならば、せめて私に何か一つくれないか。
愛か王位か、それとも家族か、何かくれたら、永遠だろうが何だろうが全部誓って、全部差し出してやってもいい。
だが中庭に呼び出して愛を告げ、優しく口付けようとすると、ヴァイルは死人のように蒼白な顔色で私を睨みつけた。

「お前のこと、大嫌いだ」

そうやってようやっと、気づいた。
――私も彼のことなど大嫌いだった。それこそ、最初から。
食うもののない不幸を知らないまま、施しに葛藤する偽善が、そして何の躊躇いも罪悪感もなく全部を欲しがる傲慢さが、愛という手札をちらつかせて私が取ろうとした瞬間に引き抜くそのやり口が、嫌いだ、嫌いだ、大嫌いだ。

それでも成人の日は容赦なくやってくる。
私達は選び、そして選ばれなければならない。
リリアノが私の名を呼ぶ。
ヴァイルが鋭く叫び、私達は玉座を超えて相対した。

「我が名はヴァイル=ニエッナ=リタント=ランテ。印持て生まれ、冠を継ぐためにここに立つ者なり」

高い名乗りの声が玉座の間を引き裂いて私を貫く。
この国の王になるべき資格が額の恩寵唯一つであるならば、ならば問おう、ではなぜ私の名には当然受けるべきリタントの文字がないのかと。
理不尽な貴族趣味で私に王位を与えないつもりなら、奪うだけだ。
食らいつき、引きむしる。それだけだ。

骨が折れるのではないかと思うくらいの勢いで剣を叩き込んでやっても、ヴァイルは手を挙げて敗北を認めようとはしなかった。
動かぬ手が盾を取り落としても、激しい眼差しが不安に翳ることはなく、剣閃が怯懦に衰えることはない。
言葉一つで負けを認めれば配偶にしてやってもいいものを、徒に命を賭けるより、素直に跪いて情けを乞うた方がよほど賢いやり方だと、なぜ誰も教えてやらなかったのか。
持つ者への嫉妬を愛と呼んでよいならば、永遠の愛を誓ってやろう。
だから、安心して全部寄越せばいい。

疲労からか怒りからか、ヴァイルの息が上がっているのが傍目にも分かる。
日に焼けた頬を眩しげに見やると、その表情にさらなる憎悪が滲んだ。
切り込んでくるのを軽くいなし、視界を覆うよう翳した盾の脇から死角へと踏み込んで正確に急所を狙う。
半ば殺意のような感情と共に薙いだ剣はすんでのところで躱されたが、不自然に崩れた体勢は重い剣を絡めてヴァイルの膝を地面へと触れさせるに十分だった。
隙が、できる。
掲げた手の下からのぞく脇腹に目が吸い寄せられる。
ほとんど無意識のうちにそこに剣を突き込もうとして、鋭い声に止められた。
一瞬早く、リリアノが私の勝利を叫ぶ。
私は剣を下さざるを得なかった。

空の明るさに目を閉じると、赤い闇の向こうで、リリアノがヴァイルに問いかけるのが聞こえた。

「王になれと言うたのは……それがお主を守ることになるからだよ。だからヴァイル、もう一度聞かせてくれ。お主は本当に王になりたいのか?」

「……わか、らない……」

目を開く。
リリアノの白い腕がヴァイルを抱き寄せるのが見えた。
青ざめてひきつったヴァイルの顔に、暗く鈍い苛立ちが私の中に入り込んでくる。
全てを持っているくせに、一つ欠けただけで何もかもを失った振りをして、慰められて、同情を集めて、その甘さが憎くて仕方がない。
私が負けたら、誰が私の傷を抱いてくれるというのだろう?
リリアノは公平などではない。彼女の腕は私に触れようともしないだろう。



篭りの間に失踪したヴァイルを探し当てるのはそう難しいことではなかった。
リリアノは誰かに連れ去られた目算の方が高いと言っていたが、私はそうは思っていなかった。
自分の足で逃げたヴァイルが行きそうなところなどどうせ決まっている。
革張りの玉座は篭りを終えて得た体によく馴染む。
振り返らないまま何もない虚空に向かってトッズ、と呼ぶと、背後からおざなりな返事が聞こえた。

「何、様子見に行くの? あんまりお勧めしないけどなぁ」

そう言いながらも、トッズはへらへらと笑って私の前までやってきた。
差し出された地図にはランテへ向かう街道の上からインクで線が引かれている。
赤い線。その端に穿たれたインク溜まりのような印は、ランテの領内までは到達していない。

「ま、見つけたのは見つけたってことね。止めはしないよ。どうせ無駄だし。レハトのそういうとこ、このトッズさんはよーく分かってます」

ねぎらいの言葉をかけると、トッズは特に嬉しげな様子を見せるでもなく、どういたしまして、といつもの読めない仕草で軽く肩をすくめた。
それを見返し、私に同行するように命令する。
ひとつは案内のため、ひとつは護衛のため。
最後の理由はあえて告げない。
王になれなかった寵愛者の存在など、最初からいなかったかのように忘れ去られてゆく中で、一人くらいは私の勝利を知る証人がいてもいい。
立ち上がって振り返ると、肖像画の中に浮かぶ歴代の王達は、笑うように、嘲るように、慈しむように私を見返していた。


本当の目的は伏せたまま、特産品の視察とリリアノを誤魔化して出かけるのは面倒ではあったが、そう難しいことではなかった。
二度打倒されてなお自らの敗北を認められず、さりとて私を殺して王位を簒奪することもしないまま、ただ目の前の現実から逃げたヴァイルは私の姿を見て何と言うだろう。
自らの中に勝利も敗北も選ばなかったのなら、そこには一体何が残るのか。
少し離れたところにあるヴァイルの姿は、かつての面影をあまりに色濃く残して、後姿でも見間違うはずがない。
そう、まるで未分化のまま、男も女も選ばなかったような。
――永遠の少年。
なぜだろう、ふと、私の脳裏にかつて城でルージョンがヴァイルへと言い放った言葉が去来した。
『選ぶことを許されていながら、選ばない人間には相応しい話なんじゃないですか』
では王になりたい、なりたくない、どちらも選べなかった者は一体どこへ行くのだろう?
名前を呼ぶ。この国の名を冠した寵愛者の名を。
視線の先で、肩がびくりと跳ねて、振り返ったヴァイルの顔はあどけない驚愕と嫌悪、それとわずかの羞恥に歪んでいた。

「……レハト」

背後でついてきた侍従が息をのんだ。
トッズはどこにいるのやら、近くにはいるのだろうがそれは私にも分からない。
侍従が駆け寄ろうとするのを制止して、私一人で歩いてゆく。

「ほっといて、俺のことなんかほっといてよ!」

帰ろう、と言うと、ヴァイルは激しくその申し出を撥ねつけた。

「今さら俺の帰る場所なんかある訳ないじゃん、馬鹿にして!」

馬鹿はお前だ。口の中で吐き捨てる。
一つ失えば全部を失ったと思い込んでしまう。
赤い何かが私を内側から密やかに染めるのを感じながら、顔だけは優しさを取り繕って今度は別の提案を口にする。
なら、海に行こう。
ランテの屋敷から見る海とは違う、あの人が目指した、世界の端に続く海を見に行こう。
そう言うと、ヴァイルの目に逡巡が走った。
本当に馬鹿な奴だ。選べない。捨てきれない。
雨の日の屋上で、もう終わりにしないといけない、そう言っていたにも拘らず、ヴァイルは未だ帰らぬ父親の思い出を葬ることができずに抱いている。
海に行こう。
もう一度強い口調でそう言い切って、ヴァイルの手を引く。
どの道逃げられないと判断したのだろう、ヴァイルは肯定でも否定でもない色を浮かべてされるがままついてきた。

運命の鍵は私の手の中で鳴る、鳴き喚く鳥のように、腰に帯びた剣のように。


まずは城に帰らなければ、と主張する侍従達を脅し、説得し、なだめすかして辿り着いた国の辺境、地面が切れる場所で、吐き気のするような生臭い風が私とヴァイルの前髪を薙いでいく。
初めて見る海は城の湖よりもずっと広くて、打ち寄せる波は手前は白く、奥は青いような黒いような、そんな陰鬱な色をしている。
足元は草地の途中から細かい砂になっていて、動き続ける水がそれを洗う。
それは本に書いてある通りで、しかし本から想像したものとはまったく違う光景だった。

「……これが、海……か」

おそらくはヴァイルにとっても、海は屋上から湖を見ながら思い描き夢想していたよりはずっと低俗なものだったのだろうが、それでもこの塵の浮いた水の塊は、その心に何らかの感銘を与えるに十分だったらしい。
見ている間に、着衣のまま手で水をかきわけて海へと分け入ってゆく。
私もその後を追った。
濁った水に身を委ねると、見知らぬ冷たさが背を抜けて肌を粟立たせる。
波音に混じって侍従達の叫び声が背後から小さく聞こえ、だがどの道泳げない彼らが水に入って追ってくることはない。
二人きり。遠浅の海の上で、岸から離れて二人きり。
ヴァイルは波に胸の上まで浸かって少し離れた先に茫然と佇んでいたが、私の気配を感じるとふと振り返った。
視線とその既視感とに、頭の奥が痛くなる。
あの時、ヴァイルに湖へと誘われたあの時、なぜ私は、温んで輝きを失ってゆく光の下で、約束しないことを選んでしまったのだろう?
選択を拒めば、船を揺らして、そして二人して水に落ちれば、笑いあってそのままだったかもしれないのに。
私は、間違ってしまったのだろうか。
――いや。
私は間違っていてはいけない。
私の歩いたこの道は、正しい道を逸れてなどいない。
永遠など存在し得ないのだから、神に誓って約束しても、約束しなくても、うやむやに誤魔化してもその全ては同じこと。
顔を上げる。低く言葉を繰り返す。
誰にも知られずに呟かれるのは、呪詛にも似た存在証明。
殺してやる。今度こそ、全部奪ってやる。

「レハト……俺、謝らないと」

声と共に、ヴァイルの視線が水面を見渡した。
どこかで猫の鳴くような鳥の歌。

「レハトが悪いんじゃない。嫌いだけど、許せないけど。でもそれ以上に俺、自分が許せなかった。レハトに顔を合わせるのが怖くて、逃げ回って、最後はこんなことして……本当にごめん。向き合わないといけなかったのに」

絞り出すように言うヴァイルに優しく笑いかけ、もういいと告げてやる。
決意は固まっていた。
友として語らった時間も、打ち砕かれた恋心も、激しく争った剣も、湖の上ですれ違ってしまった双方の手も、もうどちらの中にも得られない。
かつてリリアノがしたように手を差し伸べ、そっとヴァイルの細い肩に手を回す。
不安げな目が多少の警戒に揺れて私を射抜き、腕の中でヴァイルが身を固くしたが、それでも腕の中の小鳥は逃げようとはしない。
怯えさせないようゆっくりと手を滑らせて顎を捕らえ、上を向かせる。
見つめあううちに自然と互いの瞼が落ちて、触れ合う唇は温い海の味がした。
永遠などあり得るはずもないのだから、約束などできるはずはないのだから、選ぶことも選ばないことも間違っていたのだから、もう全て、終わりにしよう。
痺れるように甘い感触を惜しむかのように味わいながら、機を窺う。
体を離して、もう一度、リリアノが尋ねたあの台詞を口にする。
まだ、王になりたいと思っているか。

「……」

ヴァイルは答えなかった。
代わりに涙を隠すように俯き、その小さな体からふと力が抜ける。

「……レハトの好きにすればいいよ。俺、もう分かんない」

分からない。何も要らない。何も得られない。
選ばなかった者には、世界から疎外され、奪われ、そして消えていくのがお似合いだ。
私はヴァイルの髪を掴むとそのまま頭から海へと抑え込んだ。
水飛沫が高く上がり、顔に水がかかる。
不意をつかれて声も出せないまま、ばたばたともがくヴァイルをさらに強く押しつぶすように沈めて、動きが止まるまでじっと待つ。
それは長い長い時間のように思えた。
実際、随分と長い時間だったのだろう。
歯の根が合わないほど寒さに震えている自分を努めて鼓舞し、やがてぐったりと動かなくなった薄い背に手を入れて持ち上げようとすると、水を吸った服が重く私を押しひしいだ。
抱いて行くのは諦め、疲労にさらわれそうになりながら一人で砂浜へと上がる。
何が起きたのか遠目にも悟ったらしき侍従達が口々に何かを叫ぶ中、ふと見上げると、トッズが腕を組んで呆れたように私を迎えた。

「……いつかやるとは思ってたけどね」

私はトッズには答えず、後ろを向いて置いてきたヴァイルを探したが、沈んだのか、流されたのか、目当てのものは既に見えなくなっていた。
このままもう一人の寵愛者は時代の波にのまれて世界から忘れ去られてゆくのだろう。
そして全ては、残された私、選んだ者のその両肩にこそ重くのしかかる。
王位も、命も、全部むしりとって、奪って、そして今度は私が奪われていく番だ。
何をしたところで、私がヴァイルを殺したという知らせは、侍従たちによってやがてリリアノへと伝えられるだろう。
引っ掻かれてできた腕の傷に赤い血が滲んでいる、それに気づいてそっと舐め取ると、勝利の美酒は永遠の少年を呑んで揺蕩うこの海とそっくり同じ味をしていた。



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