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DATE: 2009/08/17(月)   CATEGORY: かもかてSS
かもかて二次創作SSその2【ヴァイル憎悪Bで宜しくない妄想をする】

割と間抜けなヴァイル(男)×電波なレハト(女)でヴァイル憎悪Bその後的な妄想です。
サニャ・タナッセとイベント三回分くらいの微妙な友情+ヴァイル憎悪B……でしょうか。

既に憎悪Bで二次創作書かれてる方いらっしゃると思うのですが、家を空けていたせいもあってまだ見つけてなくて寂しいので家を空けている最中に自分も書きました。
ヴァイルは好友が高いと自分を抑えてレハトを尊重する方向に行くのでこういうことはしないような気がするのですがそこはこう、せっかくだし愛で行っとこうぜ的な。
いろいろな方の二次創作を拝見してエロは素晴らしい的な方向に影響を受けたともいいます。

エロいかどうかはともかく、性描写を含みます。
現実でやったら普通に犯罪になるものですので、十八歳未満の方は閲覧をお控えください。
【ヴァイル憎悪Bで妄想する】


寝ないでいると、怖いものが来るよ。

幼い頃、私が夜更かしをすると決まって母はそうやって私を脅した。
だがそれは間違いなのではないだろうか?
怖い夢は、眠っている間にやってくるのだから。
眠ってはいけない。
決して眠っては、いけない……



篭りの時は緩やかに過ぎてゆく。
昼夜の区別なく訪れる何度目か分からない眠りの中で、押し潰されるような恐怖に私はふと目を開いた。
見れば、全身にべっとりと汗をかいている。
悪寒がするのは、篭りのためばかりではないだろう。
気まぐれに訪れた悪い夢。
だがそれは内容を思い出そうとすればするほど、雲のようにかき消えて手の届かない記憶になってしまう。
隣の部屋に向けてサニャ、と呼ぶと、侍従は燭台を手にぱたぱたと小さな足音を立てて駆け寄ってきた。
サニャ、サニャ。
天井を遮って、サニャが私の顔を心配げに覗き込むのが見えた。

「レハト様、どうなさいましたですか?」

怖い夢を見たよ、そう答えると、他愛もないその返答にサニャは微笑んだ。

「レハト様には、サニャがついていますですよ」

サニャの優しい笑顔がくれるたくさんの安心と、少しの不安が知らず私をも微笑ませる。
だが語られる気持ちに嘘はなくても、いつまでそれがもつだろう。
私から武力で王座を奪ったヴァイルが、篭りが明けた後私を厚遇するとは思えなかった。
おそらく、サニャとも離れ離れになってしまうだろうことは容易に予測がついた。

――ねえ、サニャ。
もう一度名前を呼ぶ。サニャがはい、と返事をした。
女になるって、どんな感じ?
そう尋ねると、サニャは唐突な質問に面食らったように目をしばたかせる。

「どう……って、そうでございますね……ええっと」

サニャの視線が寝台の上に落ちる。
篭りが明けるのはもう少し先のことではあったが、被せられた薄い掛布越しにも分かるほど、今や私の体は変化を遂げていた。
柔らかく浮き出す胸元の線は女性のものだが、私にはこの体がやがて子を成すなどということはまだ想像さえつかない。

「……サニャにも、まだ実感がないかもしれませんです。……もしかしたら好きな人でも出来れば分かるのかもしれないでございますね」

困ったようにサニャが言う。
成人してまだ二年にもならない彼女には、この姿もまだ子供の延長のようなものなのかもしれない。
好きな人。
サニャも特段の意図はなく言った言葉なのだろうが、子供を産むことは勿論、恋をすることも、私にとっては遠い世界の出来事だった。
誰かがいつか耳元で囁いて、この体に触れて、強く抱きしめて、私を愛するなどということが一体あるのだろうか。
まるで実感がない。
私が城で一年の時を過ごして得たものはサニャがくれる温かい友情と、そして……ヴァイルが見せる煌めくような憎しみ、それだけだった。

悪い予想は現実のものになってしまった。
篭りが明けるとすぐに、私はそれまでいた部屋を追い出され、塔の一角へと追いやられた。
殺されこそはしなかったものの、一生をここで監禁されたまま過ごさなければならないであろうことは想像に難くない。
豪奢な調度品が揃えられた部屋は何一つ不自由なかったが、城内を歩くのさえ衛士に差し止められておいそれとはできないことを知った私は失意に暮れた。
息が詰まるような淀んだ空気の中で、私は次第に生きながら死んでゆくのだろう。

剣など持たせてはもらえず、着飾ったところで誰も見てはくれない。
残された楽しみといえば本を読むことくらいだった。
閉じ込められて一年が過ぎたその夜、私は図書室からようやっとのことで持ち出してもらったディレマトイの詩集をめくっていた。
ディットンから届いて間もない新作の詩集には、これまでになく明るい筆致で旅立ちへの期待と不安とが綴られている。
詩人は城の誰かだったのではないか、そんな話が未だまことしやかに囁かれるのは、王位継承の時に合わせたかのようにその作風に変化が見られたせいかもしれない。
修辞的な言葉選びはそのままに、その意味は以前よりさらに深く、数ページ読むごとに切ないような悲しみに襲われて私は時々ページを繰る手を止めなければならなかった。
己の力で道を切り開いてゆくことへの確信、他人への理解と感謝、離れてゆくことへの寂しさを風と孕んでそれでも、彼を乗せて出港の帆は揚がる。
この詩人は自分の人生に何かを見出すことが出来たのだろうか。
ため息がこぼれる。
もしそうなら、それはおそらく私が永遠に手に入れられないものに違いない。

「レハト様」

燭台の火を強くしようと顔を上げると、上から侍従の声が降ってきた。
困惑気な顔で私を見つめる侍従は勿論サニャではない。
部屋付きを辞めさせられた彼女は新しい職を得られず、もうとうに村へ帰ってしまった。
この気の合わない侍従に不安げな表情を見られたかも知れない。忌々しく思いながら慌てて近くにあった羽筆を挟み、詩集を閉じた。

「その……ヴァイル様が、いらしてます」

苛立ちながらも平静を装って要件を尋ねると、新しい侍従はためらいがちにそう言った。
聞きなれた、だが意外な名前が私を緊張させた。
ヴァイルが?
だが侍従の肩越しに見やると、そこには確かにかつての面影を残す姿が、少なくとも表面上は気さくに片手をあげた。
会うのは篭りの前以来だ。
以前より背が伸びて、子供の頃の危うさのようなものは既に消え去っていたが、半ば目を伏せて口元を引き結ぶあの笑い方は変わらない。
私の人生を剣一つで叩きのめした憎い相手であるはずなのに、つい見とれてしまい、私は内心強く己を恥じた。

「あんたの故郷に近いところの酒が手に入ってさ。たまには連れ出してあげないと可哀想だし」

私の内心などまるで気づいていないに違いない、侍従が一歩引いて場所を譲るのには目もくれず、ヴァイルはまっすぐこちらに寄って来た。
ふと机の上に置かれたままの詩集へと気づくと、指先が題名をなぞった。

「へぇ……こんなの読むんだ」

だがそのまま興味を失くしたらしい、来るよね、とヴァイルは不可解な親しさをにじませた笑みで、詩集の代わりに私の手を取った。
予想外に強く引かれ、はずみで椅子からよろけた私は苛立ちを込めてヴァイルを睨みつけ、ヴァイルはそれを避けて握った手にちらりと目を落とした。

「そっか。あんたは女なんだったな」

私が振り切るより早く手がほどけ、それはすぐに多少躊躇いがちの仕草となって再び緩く絡んだ。
正直私をこの城に監禁している張本人であるヴァイルと仲良く手を繋いで出かけるなど不愉快極まりなかったが、たとえ城内で、一時的にであっても、私にとって部屋の外を自由に歩けることは魅力的だった。
もしかしたらこの機会に私を亡き者にしようとしているのかもしれない、という危惧がないわけではなかったが、先ほどまで読んでいた詩集が私を不必要なほど感傷的にさせていた。
外が見たい。己の意思で見る世界はきっと美しいことだろう。
だが思えばこれが間違いの元だったのに違いない。
既に散々貴族社会での噂の的になっているのに、またことさらに選定印を見せびらかして話の種をまいてやるのも癪だった。
私は帽子掛けから適当に帽子を選んで額を隠すと、空いた手でさりげなさを装ってディレマトイの詩集を取り上げ、ヴァイルの後をついていった。

折角だからすぐに行かずにしばらく外の空気を吸いたい、と私が言うとヴァイルは硬い表情で頷いた。
夜の城は暗く、かつてと変わらずどこか神秘的で、神であるアネキウスの目さえもはやここまで届きはしない。
私達は人目を避けて道なりに廊下を歩き、屋上へ上がり、特に話もしないまままた階段を降り、中庭をよぎり、どこからか聞こえる猫の声に耳を澄ませ、水辺で黒い水に映る月をただ眺めた。
仕事を終えた文官や貴族の類は皆はけてしまったらしく、辺りにはあまり人影もなかった。
時折すれ違う衛士に視線を向けられることもあるが、篭りでいくらか容姿も変わり、顔を隠した私を夜闇の中でかつての寵愛者と見出すことは出来ないようだった。
涼しい風が頬を撫でる。こんなに歩いたのは久しぶりだ。
横にいるのがヴァイルでさえなかったら、歌いながら駆け出したいくらいの気分だった。
ヴァイルとて私のことは憎んでいるはずなのに、なぜか彼は私の手を放そうとはせず、相変わらず私が少し引けばそれで離れるくらいの柔らかさで握っていた。
そっと振りほどこうとすると、少し前を歩いていたヴァイルが足を止め、何か言いたげに振り返ったが、何も言わないまま少し手に込める力を強くして再び歩き出した。

ようやっと王の自室の前に来ると、ヴァイルはそこにいた侍従を下がらせ、部屋に入って私を招いた。
リリアノを除いた歴代の王が使っていたという部屋は美しくもどこか古びて、壁に貼られた大きな地図がどこか不似合いな感じを醸し出していた。
ヴァイルのものになるのが当然だったはずの国の地図。私が奪えるはずだった王権。それはさらにそこから剣で奪い返された。
もう一人の寵愛者の手を経て、冠は戻るところに戻ったということなのだろうか。
だったら、私はなぜ城に連れてこられたのだろう。私の額にはなぜこんな印があるのだろう。
思考が沈みかけるのを振り切るように、私は陶製のカップを口に運ぶ。
辺境からはるばる輸送されてきた果実酒はあまり美味くはないものの、それが故郷の酒であるというだけでどこか懐かしいような味がした。
サニャは彼女の故郷で何をしているだろう。
ヴァイルが空になった私のカップにまた別の酒を注ぐ。
啜ると今度は蒸留酒だったらしく、焼けるような熱い塊が喉を滑り降りて行った。
酩酊するのは悪くなかった……現実は琥珀色に溶かされてもはやうたかたの夢のようだ。
ヴァイルに持ってきた詩集を示していくつか読んでやると申し出ると、そう言うのも悪くないね、とヴァイルは応じた。
しかしいざ私が一つ二つ詩を読み上げると、眉根を寄せて不機嫌そうな声を上げる。

「やっぱやめてくんない? 俺そういう下らない詩嫌いなんだよね。嫌いじゃないけど……ああ、嘘。やっぱり嫌い」

そう言って、さらに酒をあおり、もっと飲めと私にも勧めてくる。
それに応じて半ばは懐かしさから、半ばは現状の不安から杯を重ねるうち、知らず飲み過ぎてしまったらしい。

「レハト?」

ヴァイルが私の名を呼ぶが、それも無益だった。
眠ってはいけないと知りつつも眠気には勝てそうになく、ヴァイルに侍従を呼んでくれと頼むと、彼は頷いて立ち上がった。
それを見送りつつ、私はさらに強くなってくる眠気を癒そうと酔いの図々しさでヴァイルの寝台に滑り込み、そのまま閉じてゆく意識に身を任せた。

気がつくと辺りは燭台の明かりもなくほぼ真っ暗で、おぼろな月の光だけが頼りだった。
誰かが傍にいる。窓からの逆光に短い髪が見えた。
寝台のふちに腰かけてぼんやりと私を見つめているのはヴァイルだった。
侍従は来ていないのか、と尋ねると、彼はゆるゆると頭を振ってそれを否定する。

「誰も来ない。そう言いつけておいた」

誰も来ない?
聞き返すと、私を見つめるヴァイルの眼差しに突如として鋭い憎悪が混じる。
一拍の間のあと、呆れたような声音でヴァイルは言った。

「本当、あんたって馬鹿だよね。嫌ってるはずの俺にほいほいついてきて、酒飲んだ挙句こんな無防備に寝てさぁ。まさか何もされないで帰れると思ってたの?」

呪詛の言葉を吐く唇が、ふと自嘲的に歪む。

「そう……俺とあんたの子供なら、選定印が出てもおかしくないよね」

その台詞が意図するところは一つだった。
何をする気だ、と叫んだ私に、ヴァイルは言葉の代わりにただ嫌な気のする笑みで答えた。
不穏なものを感じて起き上がろうとした瞬間、何かに強く引き戻され、私はその時初めて自らの両手が頭上で寝台に縛りつけられていることに気づいた。
ヴァイルが動けない私の髪を撫でる。
そのまま組み敷かれ寝台に押し付けられて、一瞬息が止まり、喉が震えた。

「俺あんたのこと大っ嫌い。顔も見たくないくらい。でも……あんたまでいなくなったら、俺今度こそ本当に一人になってしまう。タナッセはどっか行くし、伯母さんは神の国に行っちゃうし、ユリリエは遠くの貴族と結婚して城に寄り付かなくなったし。皆いなくなる。だからせめて、あんたにはここから出て行けないように背負わせてあげるよ。……俺と同じものをさ」

耳元でささやかれ、全身に鳥肌が立つ。
甘かった。愚かだった。
なぜ気付かなかったのだろう。
飼われて、閉じ込められて、それで済む筈もなかったのだ。
私は選定印を宿した、選ばれた人間なのに。王になるはずだったのに。その資格も実績もあったのに。誰よりも神に愛された寵愛者であったはずなのに。
最初から仕組まれて、気づけなくて、部屋の外に出られるという期待にほだされて、こんなところで、政治的な思惑のために好きでもない男に犯されるのか。
悔しさとも怒りともつかない涙が目尻を伝って落ちて行った。

ヴァイルが私の衣服に手をかけると、露わになった肌に外気がひやりと触れた。
好奇心と感嘆が入り混じった視線に見つめられ、顔が火照る。
足は体重をかけられて動かせそうもなく、声を上げることは無駄だった。
せめてもの意趣返しとありったけの憎しみをこめて睨みつけるが、首筋に口付けられると初めて触れる唇の感触に情けなくも体が跳ねた。
温かく名状しがたい感触が、濡れた軌跡を残してゆっくりと這ってゆく。
肩を押さえていた片手がそっと離れて胸に触れ、それは次第に無遠慮な動きとなって私を苛んだ。
他人の手でいじられる嫌悪感が虫のように全身を這いまわり、わずかに声が漏れた。
こんな風に誰かと関係を持つことなど考えたこともなかった。
それはヴァイルの方も同じだったのかもしれない。
顔を上げたヴァイルの表情に一瞬躊躇いが表われて消えるのを、私は確かに見たと思ったが、すぐにそれは目的のための冷徹さにとってかわられてしまった。

「こういうことされるのが嫌なんだったら、何で最初から女なんか選んだの?」

そう、辱める言葉を吐きながら自身も衣服を脱ぎ、再度私の胸元に顔をうずめる。
鎖骨から段々と下りて行き、胸の先を舌でくすぐられると、気持ち悪さの中に考えたくもないような甘い感覚が混じり、思わず今度ははっきりとした声になった悲鳴をあげてしまう。
冷めない酔いに痺れた体は判断の言うことをきかず、慣れなのか恐怖で麻痺しているのか、触れられるたび肌は徐々に行為に馴染んでゆく。
自らの身に襲いかかる不可解から身をよじって逃げようとする私を、うるさげに眉を寄せたヴァイルが引き寄せた。
強引に唇を奪われ、諦めにも似た感情が私を支配したが、腿を伝う指先の感触がすぐに私を現実に引き戻す。
見れば下衣をたくしあげられ、足を割り開かれている。
誰にも見せたことのない部分を暴かれ、そこに指が触れているのだと知った瞬間、全身から血の気が引いた。形を確かめるかのように探られ、それはより原初的な怯懦となって声にならない叫びを呼び覚ます。
私さえよくは知らなかった部分に指が浅く入り込み、くちゅ、と粘ついた水音をたてた。
それが私のせいだとは信じたくなくて頭を振り、叶わぬと知りながら哀願する。
だが今更それが届くはずもなく、指が去った場所に今度は先ほどとは明らかに違う何かが、触れた。
――ひどいことをされようとしている。
それだけは、はっきりと分かった。
一拍の後、不意に激しい圧迫感が私を貫き、激痛と嘔吐感とで私は身をのけぞらせた。
泣きわめき、半狂乱になって拘束から腕を引き抜こうとするも、得られるのは自由ではなく手首に食い込む痛みばかりで、色のない涙ばかりが視界を塞ぎ、頬を汚した。
唇がうわ言のように誰かの名を呼んで、誰の名なのかは私にも分からない、呼ぶべき相手などこの世界のどこにもいはしない。
涙で滲むその向こうで、ヴァイルもまた私と同じように青ざめて恐怖に歪んだ顔をしていた。
痛い。痛い。
なお体を押さえつけられる重さに、呼吸が荒くなってゆき、縛られた両手がこの耐え難い苦痛を払おうとありもしない方向へ互いを滅茶苦茶に引っ張る。
引きずって、わずかに緩んだ隙間から力任せに引き抜き、その勢いのまま寝台に叩きつけた手が痛みに混じって何かに触れた。
乾いて硬い、それがディレマトイの詩集だと認識するより先に私は本の中から羽筆を掴みだし、逆手に構えるとそのまま横ざまから思い切り殴りつけた。

「……ッ」

掌に残る嫌な、だが確かな感触。
羽筆の鋭利な先端は、行為に気を取られていたヴァイルの首を浅く薙いだ。
血を流す傷を押さえ、そこだけリリアノを継いだような激しく怜悧な目でヴァイルが私を射抜く。
その下から外の世界を慕うように肌から敷布へと広がり散ってゆくものの黒さ。
物音を聞きつけたのか、部屋の外で足音がし、ヴァイルが息をのんで扉の方を振り返った。
その隙に相手を突きとばし、私ははだけた服を顧みる暇もなく身を翻して部屋の窓から続く露台へと駆け寄った。
腿を何かが伝うくすぐったいような感触がし、めくってみると明らかに私のものと分かる血が床へと滴った。
もう取り返しなど、つかない。
背後からヴァイルが憔悴した声で私の名を叫んだが、元より混乱した私にそれを聞き入れる余地はなかった。
未だ手の中にあった羽筆を握りしめ、露台から下へと目を凝らして、怨嗟の台詞を呟く。
小さき鳥は啼き喚きたり、その類なき籠の中で。
囚われて逃げ出せないのは私。それとも、彼。
反響するかすかな音に、私はヴァイルよりももっと、かつては城の人間だったというディットンの詩人ディレマトイを嫌っている自分に気づいた。
手すりに体を乗り出して、これで最後になるかもしれない夜空を仰ぐ。
下は一寸先も分からない闇だったが、それでも見上げた月は恩寵のように明るく美しい。
ふわりと体が浮いて、ヴァイルが何かを叫んで、そこから先はもう何も分からない。









――サニャ、サニャ。
今日も怖い夢を見たよ。






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