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DATE: 2009/08/11(火)   CATEGORY: かもかてSS
かもかて二次創作SS【ヴァイル憎悪Cの後を妄想する】
七月頭くらいに書いたままロボット検索に引っかかったら恥ずかしいので放置してたのですが別に検索引っかかってもいいような気がしてきたので載せます。
ヴァイル憎悪Cアフターな感じで。
ヴァイルがレハトを無理にどうこうとかそういう話じゃなくてすみません。
子供の頃運命の恋とか宿敵だと思っていたものが大人になるとあっという間に風化して見える儚さってなんかいいよねとかそういう話です。
ヴァイルがレハトを殺さずにいちいち監禁する理由は、性格的に殺せなかったというのもあるんでしょうけど、なんつーかレハトに「子供のままでいてほしかった(精神的な意味で)」からのような気がしました。
王になって忙殺されてゆく自分の代わりに、未分化の頃の思い出を引きずった生き物としてレハトを置いておきたかったのかなと。
愛しているものならともかく、憎んでるものを拘束して自分から離れられないようにしたいと思うような人じゃないような気がするんですよね。

※愛情ルート派生の憎悪ENDの方です。
※ヴァイルは反転憎悪、レハトは別に印象度反転しないままなので普通にヴァイルが好き。


【憎悪END Ver.C(決闘で負けて監禁されるやつ)アフターを妄想する】



最後の日、リリアノが選んだのは、私だった。
瞬間、投げかけられた憎悪に私は矢のように射られて立ち尽くす。

「俺と戦え、レハト」

絢爛の玉座の間、歴代国王たちの肖像画の下、それは哀願でもなく要求でもなく、はっきりとした命令で。

「我が名はヴァイル=ニエッナ=リタント=ランテ。印持て生まれ、冠を継ぐためにここに立つ者なり。
……神の手がどちらの頭に冠を下ろすか、決めようじゃないか」

神託のような声が耳を打つ。動悸がした。
ヴァイルは冷静さを失ってはいなかったが、口調に秘めた激しさが逆に彼の憎しみを際立たせ、私は向けられた感情の強さに怯えるより先に、こんな時でさえ真っ向から挑もうとする彼の潔さと威圧感とにただ心を奪われていた。
いまや正統なるリタントの継承者は私であるにも関わらず、ヴァイルのその言葉は私に逆らう余地を許さなかった。
あるいは、それが田舎出の私と王族の彼との、埋めがたい差だったのかもしれない。
私がせめて最大限の余裕を繕って頷いてみせると、周囲の貴族たちから緊張したざわめきが起こり、ヴァイルは挑戦者の表情で不敵に口元を歪めた。


剣戟の音は高く訓練場に響く。
勝てない相手ではなかった。むしろ勝てなければおかしかった。
一度でいい。一度競り勝てば相手は膝をつくだろう。
私の剣は今まで誰の前にも屈したことなどなく、それはヴァイルが相手とて例外ではなかった。
なのに。
視界が歪む。何度切りつけても勝ちを奪えない焦りが私の体から力を奪ってゆくのが分かる。
私の気力が尽きかけていることを知ったヴァイルが隙をついて容赦なく切りかかってき、翳した剣がアネキウスの光を受けて強くきらめいた。


あれから五年。
もう、あの敗北から五年もたったのだ。
あれ以来、私はヴァイルの領地であるランテの屋敷に留め置かれたまま事実上監禁されている。
外へ出ることも、誰かと連絡を取り合うこともない。
来客も一度リリアノが訪れたくらいなもので、彼女はその時私に希望を持たせるようなことを言いはしたものの、以降はぱったりと音信も途絶えた。
聞けば引き継ぎを終え、私の元を訪れたその後、何者かの手にかかって神の国へと迎えられたという。
私は最後の味方をなくしたことにひりつくような不安を感じながら、ただ彼女の言葉が成就するのを待ち続けた。
そして……リリアノの逝去から何年もたったある日、遂に選定印を持つ子供が生まれたという情報が、遠くこのランテの屋敷までもを揺るがした。
遂にその時が来たのだ。胸が震えた。
継承権を完全に失った私がいつまでもこうして屋敷に閉じ込められている理由はもはやない。
解放を強く迫る私に、それはヴァイル様がお決めになることですから、とランテの侍従は困惑した様子でそう言った。
抜け殻のように大人しく暮らしていた私が突如見せた我儘を聞き入れるべきか無視するべきか、しばらく彼は迷っていたようだったが、私が再度強く出ていきたいと言うと、やがて考えることを放棄したように、とにかくヴァイル様に伝えることだけは約束すると頷いた。

だが王城からはなんの音沙汰もなかった。
当然と言えば、当然のことだった。
ヴァイルはこの五年間一度もランテに寄り付かなかったし、もし未だに私を憎んでいるのならば……私を監禁から解いたところで彼自身には何の益もない。
リリアノの説得もヴァイルを変えることはできず、彼は今更私のことなど顧みる気さえないのかもしれない。
そう思うと、私は不意に胸が締め付けられるような悲しさを覚えた。
なぜあの時、私は彼に応えなかったのだろう。
ヴァイルにとって愛するということと永遠を誓うということが同義であることに、なぜあの時気づくことができなかったのだろう。
あんなに分かり合っていたのに。あんなに近い所にいたのに。
額の選定印によって否応なくそれまでの人生を捨てざるを得なくなった私にとって、永遠という概念はあまりに抽象的に過ぎず、湖に浮かぶ船の上で、私は差し出された手を取って約束することをしなかった。
嘘でもいいからあの手に応えていれば、今頃は城でヴァイルと二人幸福な生活が出来ただろうか。
以前のようにいつもそばにいて、無邪気に笑いあって、時折羽目を外しては侍従に叱られて……いや、過去を考えるのはよそう。あの時は約束しないことこそが私の誠意だったのだから。

しかし果たして数週間後、ヴァイルはランテの屋敷に何の前触れもなく姿を見せた。
下働きの少女が慌てた声で呼びに来た時には、既にランテの紋をつけた鹿車は屋敷の前に横付けされてい、私はろくに着替える暇さえないまま彼を迎えざるを得なかった。
五年ぶりに見るヴァイルは子供のころの快活な印象はそのままに、前よりもずっと大人びて、背も伸びていた。
かつて彼の嫌っていたずるずる服など着なくても、王族然としたその存在感は隠しようがない。
ヴァイルは屋敷の者たちと歓談していたが、視界の端に私の姿を認めるとその表情をふっと鋭くした。
私が礼儀作法に則って久闊を叙し、訪れたことへの感謝の言葉を述べると、それを鼻で笑って、以前のように悪意をぶつけてくる。

「来てくれてありがとうも何も、ここ俺の領地なんだけど」

そう。ここは彼のものだった。
王都から離れていても全ては彼の支配下にあり、私はただの虜囚に過ぎない。
だからこそ、私はここにいるべきではないし、新たな自分の人生を探さなければならない。
だが二度と顔を見せないからせめて屋敷を出ていきたいという私の申し出は、彼によって厳しくはねつけられた。

「分かってないね。王様が俺である以上、あんたの好きになることなんて何一つないってこと」

それだけ言うと、もう沢山だとばかりに手を振って目線をそらす。

「……そんな話をしにわざわざ俺を呼んだの? 俺レハトと違って忙しいんだけど。ランテでやることもあるし」

ヴァイルが部屋の隅に向かって手を振ると、城から一緒に来たのだろう、見知らぬ侍従が駆け寄ってきて、戸惑いを浮かべながらも私に一礼した。
踵を返したヴァイルは、私のことなど全く意に介していないかのようにさっさと部屋を出ていってしまう。
考えるより先に体が動いた。咄嗟に私は見張りの衛士を振り切って廊下に出るとヴァイルの背を追った。
足を止めて振りかえったヴァイルの耳に、周囲の人間にも聞こえるように叫ぶ。
かつて力ずくで私から王位を奪い去ったヴァイルがこれを断るはずがなかった。
それが人前で告げられたものなら、なおさら。
果たして、私を見るヴァイルの目は好奇の光を帯びていた。

「決闘で勝ったら屋敷を出ていく、ね。いいよ。面白いじゃん。やってみれば?」

その言葉に侍従が顔色を変えてたしなめようとしたが、ヴァイルはそれを一蹴した。
以前リリアノが言っていたことを私はふと思い出す。
ヴァイルは私を失ってから随分と独裁的になったという。

汝の剣は我が手にあれかし――

真剣は使えるはずもないので代わりに木剣を借り、中庭へと来た私たちは、多少の距離を置いて相対した。

「あの時はオレが挑戦者だった。今は逆だ」

剣の重さを確かめながらヴァイルが言う。
国王になっても忙しさの合間を縫って剣を鍛えていたのだろう、そこには不安も隙も全くなかった。
だがそれでも。私は顔を上げてきっとヴァイルを睨みつけた。
手の中で剣の冷たい感触が私に力を与えてくれる。
そう、御前試合で私は負けたことなどなかった。
どんな衛士でさえも、田舎出の闖入者だったはずの私を凌ぐことなど出来はしなかった。
ヴァイルと玉座を巡って決闘したあの時、あの時剣を取り落としたのは、あれはただの偶然だったのだ……。

汝の光は我が背にあれかし――

お決まりの聖句をアネキウスへと唱える。
朝の太陽は世界を塗りつぶしてしまいそうな白さで中庭へと降り注いでいた。
開始の宣告と同時に私は一気に距離を詰め、剣を振り下ろす。
だがそのことは向こうも当然予測済みだったのだろう、刃は鈍い音をたてて弾かれた。
まだだ。
切り込んでくるヴァイルを盾でかわし、死角へと踏み込む。
ヴァイルの方もさすがに手練れていると見えて、反応も早く身を返して剣を閃かせる。

しからば証せよ、この勝利にて!

それは一瞬振り遅れた甘い動き、わずかな隙を見せたヴァイルを、しかし私は見逃しはしなかった。
これで決着をつけてやる。
低い姿勢から、急所となる場所へと全力で切り上げる。
時が止まったような世界の中でふと、炎のように揺らぐ緑の目が、私の視線と交錯した。口元の笑み。

「……ッ!」

フェイントをかけられたことを悟った私は体を引こうとしたが、もはや遅く、剣の柄でしたたかに手首を殴られた私は剣を振りぬくことができなくなって大きく体勢を崩した。
また、負けるのか。
様々な思いが私の中を駆け巡った。
体勢を崩せば敗北と取られ、かといって剣を捨てれば、それもまた自由を捨てること。
とっさに私は片手を剣から離し、代わりにヴァイルの袖をつかんだ。
相手にとっても予想外の行動だったのだろう、ヴァイルもまた体の平衡を失って、私たちは重なり合うようにして冷たい地面へと倒れ込んだ。
鈍い痛みが体を走り、落ちた剣がからん、と軽薄な音をたてた。
叩きつけられる衝撃に固く瞑った目をやがて開くと、私のごく近く、目の前にヴァイルがいた。
距離の近さに思わず離れようとした私の肩を彼の手がつかみ、跳ね起きる勢いのまま強く引きずりあげる。
周囲で遠巻きに眺めているだろう侍従や衛士のことなど意にも介さないかのように、息がかかるほどの距離からヴァイルは無遠慮に私を覗き込んだ。
ああ、篭りの時を経て、私の知らない間に、彼は随分と哀しい目をするようになった。

「……あんた、変わった。醜いよ、なんて言うか」

耳元で昔より幾分低くなった、しかし以前のままの声がそうささやいた。

「昔のレハトはもっと綺麗だった。勝つ時も負ける時も……あんたのこと大嫌いだったあの時でさえ、俺にとってレハトという存在はゾクゾクするくらい魅力的だった」

背に指先が食い込んで、私は痛みと息苦しさに小さく呻いた。
お互いがお互いに伝えあう血の通った体温はかつて私が渇望してやまなかったもの、触れ合う肌の感触はかつて彼が憎み続けたもの、なのに今は随分と味気ない。
過去を手放すまいとするかのように私の体を抱いて、ヴァイルが続ける。

「全然嬉しくなかった。決闘して、レハトに勝って、俺が王様になることが決まったって。だってそんな当たり前のことなんかより、俺が本当に欲しかったのはもっと、別の……」

何も言い返せなかった。
今何か言い返そうとするならば、私はあの時湖の上で差し出された手に応えていなければならなかった。
だが愛も憎悪も彼の中にはなく、彼が私の中に見出すのは今ここに生きている私という存在ではなく、ただ美しかった時代への哀惜。
もう、何もかもが遠い過去だった。
移ろいゆく周囲に取り残されて幸福をつかめずにいるのなら、虜囚も国王も何が違うだろう。
一切は過ぎ去ってしまい、終わってしまい、私はランテの屋敷で、彼はフィアカントの王城で、もう淡々と日々に擦り減らされていくことしかもう出来ないのだ。
あるいはそれも、この手に誓えば許されるのか。
だがいくら指を絡め手を重ねたところで、誓うものなどもはや私にも彼にも何一つありはしなかった。

「どこにも、行かせないから。今のあんたが嘘でも、城で過ごしたあの時間だけは俺にとって本物だから」

私の体を離して立ち上がったヴァイルが去り際に囁いた。
解放された体が力を失って崩れ落ち、私は冷たい石床に顔を伏せて激しくせき込んだ。
神話の時代は終わってしまった。私たちは、もう子供ではないのだ。



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